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 2022年
   3月
 
 ロシアのウクライナ侵攻が始まって1か月が経過しました。何度も停戦協議が行われていますが、
 ロシアプーチン大統領が一歩も引かない強硬姿勢で協議が難航しております。
 アメリカ、NATO諸国によりロシアへの経済制裁もロシアを孤立化させているが、停戦へ向かう
 道筋を示すまでの効果が出ていない。
 ロシアへの経済制裁は、LPガス、小麦、海産物、木材など様々な資源の輸出入に影響が出るため
 日本にも関連素材の価格高騰が危惧されているが、現在の時点では今後の情勢が読みにくい。

 ウクライナ戦争、コロナウィルスとこれまでの経験則や経済データが役に立たない難しい局面で
 何が起きるか分からない難しい時代に直面している。
 コロナ禍で各国の経済対策が需要を牽引して様々な資源や素材の価格高騰が起きている。
 世界中で資源や素材の価格高騰が同時進行している資源を安く輸入することは不可能である。

 国内の木材市場では高値高騰が続いているため警戒感が強く買い控えが目立つため土台、柱
 などヒノキ構造材で値下がり品目が出てきました。しかしながら北米材、北欧材の産地では構造材、
 羽柄材、集成材、針葉樹合板など更なる値上げが想定されている。

 
 
 2022年
   2月
 
 アメリカ、NATO諸国を中心に開会式をボイコットした北京オリンピックが無事閉会したタイミングで
 ロシアのウクライナ侵攻が開始され、2国間の紛争に留まらず一党独裁共産主義国と民主主義国と
 の世界中を巻き込む紛争へと発展してきました。アメリカやNATO諸国はロシアへの経済を中心と
 した制裁を発動しロシアを牽制、侵攻抑止を促すが、ロシアは一歩も引かない姿勢を貫いている。

 世界中がコロナ禍で苦しむ中、ウクライナ紛争は石油、LPガスなどの資源問題や小麦など穀物や
 畜産品などのインフラや食料といった最も重要な分野で大きなマイナス要因を示すことになる。

 北京オリンピック閉会のタイミングでのウクライナ侵攻は、中国の台湾への武力介入にも口実を与える
 材料となりかねず、パラリンピック終了後には中国がどう動くかが大きな懸念となる。
 いずれにしても資源やエネルギー、穀物など最重要な貿易品目の価格高騰が懸念される。

 一方、日本国内では山陰から北海道まで日本海側各地で記録的な大雪が続き、原木伐採が遅れ
 針葉樹合板を中心に大幅な原材料不足による価格値上げが続いている。
 去年のウッドショックと言われる木材高騰にも関わらず、住宅市場は需要堅調で推移しており
 プレカット工場は材料確保に苦慮している。

 ウクライナ紛争は北欧材を中心に木材の産地国の日本向け輸出量は今後相当な減少が見込まれ
 る可能性が高く、主要な構造材を輸入材に依存する市況予測が難しい局面となった。
 大雪の影響もあり国産材原木の市場への供給は少なく、価格は高値で推移。各製材工場でも
 原木の確保と採算性への不安を伴いながら稼働している。

 データ的には国内の木材資源蓄積量は十分あるものの、山林地での伐採、原木の供給は簡単
 には増産体制が構築できない。国産材へシフトする好機ではあるが、一定の規模での産出態勢
 をどう作るかが重要な課題である。

 ウクライナ紛争が地域的な紛争に留まるか否かは、今後も注視して行かなければならない。
 
 2022年
   1月
 
 新年あけましておめでとうございます。
 中部納材協同組合ではWEBサイトを通じ毎月客観的な市場価格と木材市況をを提供しています。
 建築、設計、施行、関係する行政の方々にとって有益なサイトになるよう心がけております。
 本年も引続きよろしく役立てて頂くようお願い申し上げます。

 昨年は毎月連続して木材価格が高騰した1年でした。
 毎月、毎月値上げ、値上げの連続した市況は木材業界にとって過去に前例がありません。
 これまで木材という資源が安く取引できた時代が終焉することを意味しています。

 熱帯雨林の枯渇によりラワン合板などの供給が減少し、家具や建築での合板仕様が変化して
 フロア材などの基材が針葉樹に移行してきました。これは国産のスギ、ヒノキ、カラマツだどの
 素材価格を押し上げ、製材工場と合板工場が原材料の確保でしのぎを削っています。
 針葉樹合板をめぐる用途の増加は北米、EU、中国など世界中で需要が増加しています。
 
 世界中がコロナ禍でありながら、日常の生活を維持するために経済の建て直しが迫られています。
 木材だけでなく様々な産業で、素材となる資源が不足して資源確保の競争が激化しています。
 オミクロン株が世界中で短期間に猛威を振るい蔓延する中、資源をめぐる奪い合い基調は、
 これからもしばらく続き、仕入れ価格や消費者物価を押し上げていくでしょう。

 木材はこれまで身近で調達が容易な資源でしたが、加工技術やバイオマス技術の進化により
 多角的な視野で見ればその需要は増えることが見込まれます。
 
 2021年
   12月
 
 南アフリカ連邦で発生したオミクロン株ウィルスがイギリスを始めEU諸国に波及してきた。
 成田や関西空港での水際対策を強化するも少しずつ感染者が報告され始めた。
 10月以降デルタ株の収束が見られたが、又新たなウィルスの脅威を迎えつつある。

 北欧材や北米産針葉樹の輸入構造材や羽柄材はコストが高いものが市場を形成している。
 一方国産材ヒノキ、スギ等の製材用丸太は柱、土台等専門的な生産者数が少ないため余剰感があり、
 関東では強いが中京地域では値下げ展開となって来た。
 僅か1年にも満たない短期間での価格高騰は先行きの状況次第では暴落するリスクも高い。

 ウィルス対策と経済対策が同時進行し、世界の素材や原材料から半導体など電子部品に至るまで
 海上コンテナを基本とする様々な流通に大きな変化をもたらした1年であった。

 住宅関連産業では価格高騰により想定を超えて利益を上げた企業もあれば、資金繰りに窮する
 不動産、建設関連企業も多く出ている。
 1年間12か月以上長期間に亘り連続で木材、建材価格が値上がりし続けた例は過去にはなく、
 また値上がり率が品目により2倍、3倍にもなっておりこのような高騰は全く前例がないと云える。

 コロナウィルスからデルタウィルス、オミクロン株へと変位を続く感染病は世界中の諸国にとって
 共通の脅威であり、可能な限りワクチンの開発がすすめられることが期待される。
 
  2021年
   11月
 
 11月末時点で国内のワクチン接種率は総人口76%を越へ、1日の新規感染者が100人以下であり
 一定の沈静化が見られ、岸田内閣は経済立て直しに動き出したが、アルファ株、デルタ株、オミクロン株
 へと変位を続け人類への新たな脅威を増している。

 一方では経済立て直しに向け原油、鉄、アルミ、半導体など基幹産業を支える素材や部品だけでなく、
 鶏肉、牛肉、野菜や小麦などの食品素材に至るまでコロナ禍で押えられていた各国需要が、世界中で
 調達競争を起こしている。

 住宅建築を主要な需要とする木材は、プレカット工場の堅調な受注に牽引され価格は高騰し高止まり。
 9月以降、輸入仕入れコストが最高値契約分の入荷が相次ぎ、船運賃、トラック輸送コスト上昇もあり
 価格は下がる気配なし。

 中国を中心に主要な貿易国で木材も世界の資源調達競争に晒されており安く調達するという原則は
 全く通用せず、高い提示価格を受けざるを得ない資源国の売り手市場となっている。
 スギ、ヒノキ、カラマツなど国産材針葉樹合板は、ラワン合板入荷がなくなりフロア台板用需要などが
 出てきており原材料不足で値上がりしている。

 感染力が高いオミクロン株という変位ウィルスが年末年始で人出が増え、乾燥しやすいこの冬場に
 どのような影響が出てくるのか?世界中が警戒態勢をとり最小限に止めたいものである。
 
 2021年
   10月

  衆議院総選挙でイメージ転換を考えた菅総理が続投しないという選択をしたことで総裁選挙となった。
 若手支持者が多い河野太郎を押えて岸田文雄が第100代内閣総理大臣に就任した。
 岸田内閣は組閣後10日で国会の解散を宣言し衆議院総選挙となった。

 世界中に猛威を振るったコロナウィルスは先進国では収束傾向が出てきて経済再生にむけた様々な
 取り組みが進んで来た。日本でも菅内閣は9月30日に緊急事態宣言を解除した。
 欧米諸国、中国、日本などが経済再生に向けて動き出し、原油、各種金属素材、半導体等精密部品
 の不足が顕著となり様々な工業生産素材の高騰を招いている。
 海上輸送の要となるコンテナも港湾に滞るなど通常の状態にはなく、経済再生の足かせとなっている。
 いずれ時間が解決するものの、必要な素材や部品の欠品は深刻で製造ラインに影響している。

 構造材、羽柄材など主要な品目で輸入材に頼る日本の木材価格が高騰しウッドショックを招いた。
 代替材として国産材へのシフトを計るが安定供給するためには態勢が整わず時間が掛かる。
 個人向け住宅建築も価格高騰を受けて警戒感が強く今年後半の受注は減少する予測である。

 コロナ禍からの経済再生は選挙後の態勢が整い、効果的で実行力のある対策が必須である。
 
 
 2021年
   9月
 
 コロナデルタ株による全国的な蔓延は9月下旬になって収束に向かいだしている。政府は緊急事態
 宣言を解除し、一日も早い通常の日常を取り戻せる様に関係する専門家会議で調整を計っている。

 中国、インドネシア、ベトナムでのデルタ株対策のロックダウン、工場閉鎖により半導体、ICチップなど
 各種電子部品の供給不足により自動車、家電、パソコン、各種産業用ロボットなどの製造が停止し、
 経済全体への影響が深刻になって来た。木材だけでなく様々な原材料や資材高騰が顕著である。

 9月以降、国産材原木の伐採、供給が本格化して来るが柱、土台等製材用適材は高値で推移。
 針葉樹合板用原木は依然入荷が少なく、需要量が大幅に増えており各工場では出荷調整している。
 基本的にプレカットなど直需向け優先で流通量は依然少なく価格の高騰が今後も続く。
 インドネシアの合板入荷が停止されておりラワン合板の価格が高騰している。

 住宅減税効果で30代世代の戸建て需要が堅調だが、プレカット工場では集成材柱、針葉樹合板など
 建築に必要な部材の欠品がでており工場の稼働を調整する所も出てきた。木材だけでなく電子部品
 による機能性が高い家電や住設機器にも供給不足が出てきている。

 10月以降も堅調な需要に対し、様々な部材や部品不足が想定され、価格高騰による運転資金への
 懸念もあり住宅建築市場は非常に難しい局面を迎えている。
 
  2021年
   8月
 
 コロナウィルスデルタ株の蔓延は東京を含む首都圏に留まらず全国に広がり収束の目途が立たない。
 オリンピック、パラリンピックを成功させてコロナを克服した証としようとの号令は空しい現状である。
 欧米、中国、インド、東南アジアとも各国は大規模な経済対策を打ち出しており、警戒感から押えられ
 てきた個人需要は自動車、家電などで大幅な伸びを示している。

 8月上旬からお盆にかけて続いた長雨による豪雨は九州南部で国産材原木伐採、造材は減少した。
 合板工場への出材はヒノキ原木の供給が不足して針葉樹合板の生産量に不足が出ている。
 ヒノキ素材価格が合板用と土台、柱の製材用が値上がりして価格差が生じて来たためである。
 4m土台用、3m柱用素材を主体とするため6m物通し柱用原木も市場で値上がり傾向である。

 北米材、北欧材とも9月以降の主要な構造材、羽柄材は入荷契約分は史上最高の高値仕入れ価格
 となるため品目により価格的な天井感が出てきたものの秋需以降に下がる気配は全くない。
 昨年比で柱、土台など構造材、羽柄材木材価格は全て市場相場は2倍になっており、仕入れなど
 に必要な運転資金も2倍に増えており経営環境を圧迫しかねない状況が迫っている。
 木材の価格高騰だけでなく、鉄、アルミなど建築関連資材が全般的に価格が上がっており、
 建築工事全体の請負価格が高止まり、様々な建築関連業種は今後の経営に不安を抱えている。
 
 
 
 2021年
   7月
 
 苦渋の判断で東京オリンピックの無観客開催を決定したが、インドで蔓延したコロナウィルスデルタ株は
 東南アジアや日本にも加速的に広がって来た。東京では一日の感染者が3000人超え全国では1万人
 の超える感染者が続いている。緊急事態宣言が発動されるが効果が見えてこない。

 インドネシアでのコロナ禍は深刻で、ラワン合板の生産は急激に落ち込んできた。そのため輸出減少
 のためラワン合板価格は急激な高騰が続いている。

 スギ、ヒノキ国産材丸太の伐採供給は徐々に増加しているものの需要に見合う供給は確保されていない。
 素材価格は5月より約20%〜30%の値上がりが続いている。

 北米材、北欧材は春以降の高値契約分の入荷は9月以降の製品相場を更に押し上げると予測される。
 主要な構造材、羽柄材は半年前の価格を比べると品目によっては2倍以上の値上がりとなっているもの
 が多数出ており、秋以降の新規の見積りや受注に大きな影響がでだけでなく、同じ内容で仕入れても
 仕入れ額は倍増して運転資金を圧迫している。同時に施行会社に対する与信管理が難しいくなっている。
 
 
 2021年
   6月
 
 4月以降の新規の輸入契約提示額は想定を超える高値が続出している。躊躇していては仕入れが
 出来ず、北米、北欧材は止む無くコストや売値を無視した一方的な売り手市場契約である。
 高値契約分の入荷は8月後半以降の入荷が多く、港湾倉庫、流通倉庫とも在庫はなく売る商品欠品
 が続いている。

 北欧、北米針葉樹の入荷不足はいよいよヒノキの土台、柱の価格高騰にまで発展した。
 対先月比で土台、柱、羽柄材は35%を超える値上がりとなり、更に品不足が続くため打つ手がない。
 スギ、ヒノキ原木の入荷は少しずつ増加しているが、製材品需要量にはほど遠く少量である。
 
 輸入材、国産材を得意とする大手の専門問屋筋の倉庫には在庫は一掃され、売る商品がない事態
 となっているが、いずれも新規の仕入れが出来ず、打つ手がない事態である。
 コロナ禍の最中に起きた今回のウッドショックはテレビ、新聞、建築専門紙等マスメディアが取り上げ
 住宅建築という経済を牽引する個人消費に少なからず影響する。
 秋以降の建築分野では、新規の見積もりが出来ず工務店、木材流通業者への影響が懸念される。
 
 2021年
   5月
 
 昨年末から保税倉庫や流通業者の在庫が急激に減ってから、6か月連続で木材価格は高騰。
 5月の木材パニックは更に深刻な状況へ向いている。新規の木材輸入契約が出来ず契約済みコンテナ
 入荷は遅れで予定が立たず品不足に拍車を掛けている。
 天井が見えない価格高騰は木材、木造建築業界の危機を招いている。

 大手ビルダーの動向は手持ち材の消化分次第で、在庫が無くなり次第、新規の契約は難しいと予測。
 中堅プレカット工場の構造材、羽柄材の在庫は6月〜7月位で無くなり、新規の加工契約が出来ない。
 主要な製材工場は契約によりプレカット工場への供給を優先しており、木材市場への出品は少ない。

 春先から入梅に差し掛かるこの時期は、立木が水を吸い上げ、虫が入りやすく原木の保管が難しい時期
 である。年間を通じて原木の伐採、供給が最も減少する時期であり、原木が直ぐには増えない。
 
 木材市場や流通問屋には問い合わせの電話や引き合いは多いが必要とされる商品の在庫がない。
 昨年12月入荷予定コンテナが6月になってやっと入荷する事案、契約分数量の半分しか入荷しない契約
 やコンテナが途中の港で降ろされ不明となるなどの事案もあり海上コンテナ物流は混乱している。

 世界各地のコロナ禍の感染状況や主要な木材産地価格の天井が見えない値上げの動向は短期間
 では好転する見込みがなく、長期化するとの見方が多いようである。
 
 
 2021年
   4月
 
 アメリカの住宅需要に端を発した米加材、北欧材針葉樹の品不足は、日本の木材市況にパニック
 を引き起こしている。消費する構造材、羽柄材が特定の樹種に依存し過ぎているためでもある。
 この20年の間にプレカットによる建築の供給が当たり前となり、プレカットが求める木材の品質や
 性能は、過去米加材と北欧材針葉樹により担保され持続可能な資源とみなされて来たがその
 神話が崩壊の危機に直面するパニックである。

 日本はこれまで世界有数の木材輸入国としての地位にあったが、今後高騰する産地価格にどれだけ
 ついていけるか?採算性を無視した木材輸入は困難な状況となる。
 輸入材の品不足、価格高騰に対抗するため、国産材の供給シフトがどう進むか?が課題である。
 国産材が抱える課題は、急峻な地形、伐採機械化の遅れ、山林従事者の高齢化などによる伐採
 する原木供給量が不安定なことに起因する。原木が確保されたとしても大型の製材、加工が少ない
 ため、木材に求められる品質や性能を確保するには相当の時間を要する。簡単ではない!

 港湾在庫やプレカット工場の在庫を考慮すれば短期的にはパニックを乗り越えられるかもしれないが、
 企業間格差があり、夏場以降の材確保が難しくなる時プレカット工場に依存している工務店の倒産や
 廃業、事業転換などが予測されそうである。

 これまでの経験則や経済原理を超える木材価格高騰にどう対処していくか?
 大きく深刻な局面であり、予測が不可能な今後の情勢に注視してください。


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