【中部納材協同組合HOME】 »  市況報告



 2021年
   3月
 
 コロナによる不況を防止する経済対策の効果もあり、アメリカの住宅着工、販売が好調で木材需要が
 増加しており、カナダ、アメリカの米松など針葉樹の産地価格は軒並み高騰している。
 北米産針葉樹の輸出先である中国や日本への供給が減り、国内需要へシフトしている。
 北米材が減る分を北欧材に求めるため、北欧材産地価格も高騰している。
 米松米ツガ、SPF、北欧材は日本だけが安く仕入れをしようとしても材は価格がよい市場へと供給
 をシフトしながら動く世界を市場とする国際取引商品である。

 コロナ禍の中、世界中諸国が景気停滞を恐れ個人消費に向けた経済対策を実施している。
 特にアメリカの景気は上昇しており、中国から輸出された輸送コンテナがアメリカ港湾に逗留しており
 輸出入貿易と海洋輸送は片側一方通行の様相を呈してきた。EUとアジアを結ぶスエズ運河タンカー
 座礁事故のニュースもあり、不透明な海運輸送による影響が懸念される。

 北米材北欧材の品不足、産地価格高騰は長引く可能性が高いが、スギ、ヒノキへの代替シフトへとは
 進んでいない。国産材市場は長年の間買い手優位の市場が続いており、価格値上げが出来ない。
 又、高齢化や合板、バイオマスなど需要増加が伐採量など素材の安定供給を難しくしている。
 米松の価格急騰は今後の日本向け供給が消滅することも想定される。そのためスギ、ヒノキ国産材
 へのシフトがカギを握るはずであるが、現状はただただ静観するしかない。

 建築木材はプレカット工場が主要流通であるが、短期の材確保に走ることは決して得策ではなく、
 価格を見極めながら冷静な対応が重要である。春以降の新規輸入契約はハイリスクを余儀なくされ、
 米材、北欧材の値決め、仕入れ調達は困難極まりない状況である。
 
 
 2021年
   2月
 
 コロナ禍により緊急事態宣言が続く経済動向は、依然厳しい業界と回復から+好転する業界と
 が明確に分かれて来た。白物家電や自動車産業などは回復から+に転じており経済を牽引している。
 GARFAが経済を牽引するアメリカ国内の住宅は中古住宅、リフォーム、建売分譲とも高い水準である。
 したがって、木材の供給はまずはドメスティック需要を優先させながら輸出用を考えるという構えである。

 昨年末から続く北米材や北欧材針葉樹の品不足は深刻で、日本向け輸出だけでなくアメリカ国内
 や中国向け供給が強く高値提示額の新規の契約が出来ない状況である。そのため今後半年程度は
 新たな契約が出来ず深刻な品不足が予測される。パワービルダーと呼ばれる大手の住宅メーカーは
 コロナ禍でも堅調な受注を確保しており、資材の確保に国産材の代替へのシフトを加速している。
 中小零細な住宅会社では資材の高騰に直面し見積もりが出来ない状況になりつつある。

 北欧材や北米材が安定供給をしてきた構造材や羽柄材を国産材へシフトするためには時間をようする。
 スギ、ヒノキの製材供給は中小零細規模が多く、大手製材工場への集約化は始まったばかりである。
 原木生産量も高齢化や人手不足のため短期間での増産は極めて困難である。

 輸入針葉樹の構造材や羽柄材の価格は去年の相場から3倍程度まで上昇する可能性があり、
 当面は賄うことが出来ても木造住宅の各種部材は不可避的に樹種転換を迫られている。
 
  2021年
   1月

  恒例となっている忘年会、Xmasイベントなど師走の行事に人が密になりコロナ感染が拡大した。
 2021年年明け早々の1月7日には菅内閣により11都道府県で緊急事態宣言が発動された。
 旅行代理店、航空、バス、ホテル事業などの観光業、居酒屋など飲食業は深刻な状況に直面している。
 コロナ禍による雇用、事業継続の経済対策、歳費負担は国の財政収支を直撃して切迫している。
 
 プレカット工場の受注がそのまま木材関連の建築材の景気動向に直結している。
 昨年秋以降の輸入材の入荷抑制が起因して冬場の木材価格相場を押し上げてきた。
 米松など北米産針葉樹は価格はこれまでの最高値まできており、持続が難しい水準である。
 米材を扱う国内大手製材工場は、米材から国産材スギへのシフト変更を検討し始めている。

 分譲系、戸建て注文住宅ともコロナ禍の影響で消費者の所得減少が大きなマイナスとなりそうである。
 住宅や建築分野に限らず国内経済的な減速が長引くことは何としても避けたいところである。
 経済と命を守る感染対策の両立が目指す菅内閣は、一日も早いワクチン接種を実現したい所である。

 木材価格とその景気動向は国産材、輸入材、業種業態を問わずを先の見通しが読めない状況で
 決めてを欠いている。
 
 2020年
   12月
 
 コロナ禍に始まりそのままいよいよ師走12月となりました。
 コロナ禍のため各商社とも秋需を期待することに慎重だったため、夏以降の新規輸入契約は押えられた。
 商社同様、先が読めないためプレカット工場も材料の仕入れには慎重だったが、プレカットの仕事は
 秋以降堅調に推移したため、必需品となっている北米産、北欧産の間柱、根太等羽柄材が不足してきた。
 米松構造材の値上げが引き金となり、商社、流通市場の港湾倉庫のが11月になり一気に売れ始めた。

 コロナ禍の影響は資材や人の動きを抑制したため、プレカット工場の外国人労働力確保にも深刻な
 影響が出てくると想定される。また各種建材や木材関連企業においても感染者が散見されている。
 現在都市部だけでなく全国的な規模で1000人を超える第3波の感染者増加が続いている。
 コロナ禍収束が見えない限り経済活動と感染リスクが社会に混在し同居している。

 年末になり市場の荷動きや価格は変動が出ているが、先に対する警戒感は払拭できない。
 先が読めない、見えない警戒感が今後も市場動向に影を落としている。
 
 
 2020年
   11月
 
 東京を含むGotoキャンペーンなど経済対策を最優先に取り組み観光業に経済効果が出てきたが、
 東京以外でも北海道、大阪、愛知、神奈川などでコロナ感染の第3波が起きている。
 Gotoキャンペーンが直接の原因ということではないが、国民に意識に緩みをもたらし、感染者増加
 のきっかけとなったともいえる。様々な業界で的確な方向性を見極めることは難しい。
 来週には師走を迎え残り1か月となりますが、コロナ禍の感染リスクと経済活動の両立が不可欠である。
 
 コロナ禍の影響で輸入される構造材、羽柄材は例年に比べ半減しており港湾、市場とも在庫は少ない。
 住宅減税等の継続に注文住宅に大きな落ち込みは少ないものの、分譲住宅やマンションは低迷した。
 
 木材、合板など建築材は全体的に品薄のも関わらず流通市場では荷動きが悪く低迷している。
 構造材輸入米松材の大手中国木材は値上げをしたい局面でありながら市場は抑制的である。
 年末から3月年度末までの住宅産業需要期と感染リスクが高まる乾燥期になることから市場見通しが
 立たず川上から川下まで業態を問わず苦しい展開が続きそうである。
 
 
 2020年
   10月

 菅内閣発足し東京を含むGotoキャンペーンなど経済対策を最優先に取り組み、ホテルや旅館
 観光業などでは一定の経済効果が出てきたようである。さらにはプロ野球等のスポーツイベント
 への入場制限を緩和して活性化を図る動きが目立つ。海外渡航者の出入等についても条件付き
 緩和をすすめるなど、コロナ感染対策と経済立て直し政策も両立が積極的に進められて、
 社会全体としては少し明るさが見える。一方、東京都、大阪など人が密になる都会では依然として
 新規の感染者は増減を繰り返し警戒を強めることが求められている。

 国産材を中心とする素材や製材品に入出荷は極めて悪く価格、販売量とも40%程度減少している。
 プレカット工場での受注は工場にによりばらつきが激しく、顧客工務店の仕事量がそのまま
 プレカット工場の稼働を左右し、営業基盤が強い工場は然程の落ち込みはないという。

 北米、北欧材とも新規に契約や入荷は少なく、港湾在庫は減少してきたが価格的には横ばい停滞。
 10月〜3年度末の半期で夏場から落ち込んだ売り上げをどう回復するかが各社苦悩している。
 分譲マンションや木造分譲戸建ては土地の確保が課題で、新たな開発は目立つことはない。
 個人の注文住宅を主体とする工務店は、受注格差が激しく、財務内容や営業力の差がそのまま
 売り上げの差となり格差は広がって来た。コロナ対策として持続化資金を活用出来ている内は
 目立った企業倒産は少ないが、今後さらに半年以上の受注減が続けば曲面は大きく変わる。

 木材、建材等建築関連資材は生産供給力や需要見込みを考えると大きく変化する状況ではない。
 当面は菅内閣による経済対策が迅速に実行され成果となることを待つしかない状況だ。

 
 2020年
   9月

 安部首相の体調不良により自民党派閥主導により菅内閣が誕生した。
 菅首相はコロナ感染拡大阻止とGotoキャンペーンなど経済対策を最優先に取り組むと明言。
 様子を見る姿勢からコロナ禍にあっても感染防止と経済立て直しの両立に舵を切った。

 建築関連産業では低金利、住宅減税対策などによりコロナ禍でも目立った減速は目立たなかったが
 プレカット工場ではお盆休み以降じわじわと受注が減り売り上げの落ち込みが顕著になって来た。

 スギ、ヒノキ、カラマツを原料とする針葉樹合板工場では、大雨災害や需要減少を見越し原材料
 の確保不安もあり操業短縮による生産調整を続け、9月以降合板価格は底打ち感が出てきた。

 プレカット需要以外の一般流通の国産材製材品の荷動きは悪く景気を牽引する材料がない。
 一方、北米産針葉樹の構造材産地は山火事等により産地価格を値上げに転じて来た。
 大手中国木材は各類の10月値上げを表明しており、母屋角など輸入製材品も産地価格は強い。
 いずれにしても、米国大統領選挙やコロナ第2波のなかでのGotoキャンペーンなど経済対策が
 10月以降どのように影響してくるのか推移を見極めるしかない。

 
 2020年
   8月
 
 南シナ海から北日本近海までの海水温上昇が異常な気象現象を招いているらしい。
 同じ地域に線状降雨帯を形成する極端な豪雨、連日38度を超える猛暑、巨大化する台風など
 感染拡大が続くコロナ禍だけでなく経済を停滞させる要因ばかりが目立っている。
 毎年確実に地球温暖化しており、異常気象による災害は全世界中の各地で起きている。

 7月豪雨災害が発生した九州熊本、大分はスギ、ヒノキの産地であるが、林業、製材業への
 影響がどうなっているかはいまだによくわかっていない。いずれにしても全国的な素材生産、供給、
 停滞が続き原材料不足が起こりえるが、それ以上に市場が悪い。

 コロナ禍による木材、建材、住宅産業への影響は今後の秋需以降に益々深刻になるとの見通し
 があり、需要減による過剰な受注競争や価格競争による採算の悪化が懸念される。
 新規契約の輸入材や港湾保税倉庫等の在庫は増えておらず、流通在庫は適正の水準である。
 売上の減少による資金不足が更に数か月続けば倒産する企業が出ることが予測され極めて厳しい
 下半期の景気予測がささやかれている。

 木材や建材の価格を下げても売れない、打つ手なしの市場停滞である。
 3月〜7月までは悪いなりに対前年比で10〜30%程度の売り上げ減で維持できたものの、
 9月以降秋から冬にかけての景気減速が市場悪化を招く厳しい局面である。
 
 
  2020年
   7月
 
 緊急事態解除後の人の仕事や生活上の動きが想定を超えるコロナ感染第2波に繋がっている。
 1日の新規感染者は東京で300人を超え、大阪府、愛知県で100人越え、福岡県など全国に
 感染波及が止まらない深刻な状況である。GO TOキャンペーンや給付金交付など様々な施策が
 打ち出されているが、深刻な感染状況に自ずと経済的なブレーキが掛かっている。

 注文住宅や建売分譲物件は3〜5月には一時的にストップがかかったが、7月には再発注され
 プレカット工場は通常稼働がつづいているが、今後の受注分が乏しく警戒感が強くなった。

 木材が素材原木から製材品に至るまで市場での荷動きが悪く、価格は値下げに歯止めが利かない。
 状況を分析すれば過度な値下げをして需要が上向く気配がないため、慎重な対応が望まれる。

 直面するコロナ不況にどこまで耐えられるか?様々な産業が重大な局面に立ち向かうしかない。
 GO TOキャンペーンや給付金交付、経済支援施策がどこまで牽引できるか?
 長引けば経済全体が疲弊し破綻してしまう重大な局面である。

 
 
 2020年
   6月
 
 新型コロナウィルスの猛威は6月30日現在で感染者18596人、死亡者972人に達した。
 緊急事態宣言による行動自粛が様々な業種、業態に経済の停滞を招きリスクを抱えながら
 安倍内閣は6月15日に緊急事態宣言解除を決断した。しかしながら依然として国の緊急事態
 解除後も東京を中心に新たな感染者が50人を超える日が5日続いている。
 
 緊急事態宣言後飲食業、観光業、航空会社など特定の業種に深刻な不景気を招いたが、4月以降
 月を追うごとに事業規模を超え様々な分野の業種にじわじわと景気後退減少が目立ってきた。
 5月、安部内閣は不況対策を1次補正と合わせた事業規模は233・9兆円、財政支出は
 総額120・8兆円と異例の規模になった。

 経済対策の効果は2〜3か月の時差が生じるため、この夏場はコロナ不況はピークとなる。
 
 6月になり個人需要による住宅建築や不動産市場においても景気後退が目立つようになった。
 木材市況は川上から川下まで荷動きが非常に悪く、主要な構造材、羽柄材、合板まで軒並み
 価格が下落してきた。荷動きが悪い分流通在庫が減らず悪循環を招いている。

 6月時点では戸建て注文住宅向けプレカット工場は大きな落ち込みがなく横ばいで稼働している。
 しかし、今後の新規受注分は減少しており夏場以降は後退すると警戒している。
 北米、北欧の針葉樹輸入材はコロナ禍以前の契約分等が入荷し、在庫が増えている。
 過去に前例がない程の市場価格下落する可能性が高く、非常に難しい局面に来た。

 
 2020年
  4月、5月
 
 新型コロナウィルスの猛威は5月28日現在で感染者16719人、死亡者874人に達した。
 政府は5月25日には北海道、東京都、大阪府、兵庫、福岡など解除されていなかった5府県の
 緊急事態宣言を解除した。全国すべてが解除となりましたが、引き続き不用不急な外出を控え、
 密閉、密集、密接を避けマスク着用、手洗い、うがいなどを行い感染を防ぐことが重要です。

 中部納材協同組合は毎月価格委員会を開催して市場価格評定を行っておりますが、この緊急事態
 での密閉、密集、密接を避けるため4月、5月と2か月間価格委員会の開催を避けました。
 価格委員会委員との電話での情報交換により市場価格を評定してきました。
 2020年4月市場価格2020年5月市場価格4月&5月市況報告を更新しました。

 コロナ不況は木材業界にもじわりじわりと影響が出始めております。
 日常的な訪問営業活動が出来ず、新規の受注や見積もりが激減しており、6月以降梅雨から夏場
 に更に厳しい局面が予想される。各社営業の建て直しが急務である。
 
 タイムラグがあるため主要な構造材、羽柄材の輸入は正常な入荷している。
 ただ、市場の荷動きが悪く流通在庫も不足しているものもなく、適正な在庫状況である。

 飲食、サービス業、観光業に顕著だったコロナ不況が、自動車産業その他の基幹産業にも出始め、
 日本全体の個人消費や設備投資などに刺激を与えなければ先が見込めない。
 第2波、第3波の感染拡大を想定しながら景気回復をどう計るか?緊急課題である。
 

過去の市況報告 
2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度

ページのトップへ